drakiti63の日記

私の人となり

重たいカバン

人生初めて、人様からお金を頂く仕事をしたのは、大学2年の夏休みのこと

だった。

仕事は、珍味売りのセールスマン。

珍味は、一袋、250gまたは、300gの代物で、2500円。3000円

のものだった。

スルメ、昆布、ウナギの骨の混じったカレー味のウズラ卵みたいな形をしたも

の、ホタテのスジ、小さなカニの燻製、マグロの燻製などなどで、色々な体験

をした。

トップセーラーの売り込み方を習って、売った。

勿論つらい思い出の方が多かった。

珍味を入れたカバンは、5kgをはるかに超えて、売れないと重くてきつい。

でも、嬉しいこともあった。長野県をあちこちと回ったが

ある家の奥さんが、はじめ、全然買う気なかったのに

岐阜県の多治見出身で、当時まだ、国鉄の頃、多治見駅からタクシーで10分

くらいのところに親戚があるという話になって

奥さんが、精華小学校の近所って仰ったから

そうですと言ったら

急に態度が変わって

2袋と、真夏の中、大変でしょうと

カルピスまでご馳走してくれた

また、こんなこともあった。

ある家に、入ったら

いきなり、奥さんに断われたが

その家の大奥様が

出てきて、何売りに来たの一つ買ってあげるわ

といことになり、奥様は、大奥様に昨日も同じような買ったじゃない

怒っていたが、買ってくださった

帰り際の大奥様の瞳が神様のような眼差しで

とても心を打たれ

その家を出て、号泣した。

あんなに感動したのは久しぶりのことであった。

暴力団の事務所にも入った。

仕方がない。

どんな家でも入りなさいというのが、セールス会社の方針だったから。

その暴力団の事務所には、組長と思われる人が

最近、指をつめたらしく

片手に包帯が巻かれていた。

「お前、ここがどういうところか分かって来たのか」

「はい」

「そうか。じゃぁ、ここで裸踊りしたら、持ってきた珍味全部勝ってやるぞ」

「すいません。それだけはできません」

「じゃぁ、土下座しろ。そしたら一つ買ってやる」

「分かりました」

それで、一つ買ってもらったが、皆からは、裸踊りすればよかったじゃない

と冷やかされた。

まだまだ、色んなことがあったが、アルバイト代よりも、色々な貴重な体験が

できたことが、人生の宝物となった。

しかし、カバンは重かった。


倉木麻衣 - Secret of My Heart - YouTube